国公立大医学部医学科現役合格のための学習戦略

国公立大医学部医学科現役合格のための学習戦略

ここでは、国公立大医学部医学科に現役合格するための3年間の学習戦略(どのようなことを、いつぐらいにやると良いか)について書いていきます。ここで示す戦略は、一例なので一人一人の状況によってベストな戦略は変わってきますが、参考にしていただければと思います。

 

 国公立大医学部医学科入試の現状

狭き門「国公立大医学部医学科」

まず、国公立大の医学部医学科の入試の概要について簡単に紹介します。

募集定員から確認すると年間で全大学合わせて、おおよそ5500人です。このうち約3600人が前期の一般入試、一般後期は約500人、推薦入試で約1200人、AO入試は約200人になります。(2019年度実績)「国公立の医学部医学科志望者の数」≒「前期一般試験の出願者数」と考えると後者は約1万6000人なので、すこし粗い計算ですが、合格できるのは3人に1人程度となります。

3人に1人合格するのであれば、大したことないと思う方もいるかもしれませんが、そもそも医学部医学科志望者層は、ほかの学部学科の志望者層とは比べ物にならないぐらいハイレベルです。

どれぐらいハイレベルかというと、国公立大医学部医学科合格者のセンター試験の平均得点率はおおよそ90%弱で、これは東大や京大の合格者平均と同程度です。また、受験者の平均で考えると、5~10%程度低くなるので、受験者平均は約80%になります。センター試験の得点率が80%というと、東大・京大・医学部医学科を除いた旧帝大(大阪大学や九州大学、名古屋大学等)の合格者平均と同じぐらいです。つまり、国公立の医学部医学科では医学部医学科でなければ、難関大に合格できるような人たちが受験し、そのうちの3人に1人しか合格できないということになります。

★各大学の入試情報ページへはこちらからの検索が便利です。

 

(画像は島津が攻めあぐねた飫肥城門)

 

有力な選択肢となりうる推薦入試

今後の入試の動向について紹介すると、全体の定員は2020年度以降は少し縮小されます。また、近年の傾向として一般入試の定員が減り、推薦入試・AO入試の定員が増加しています。この傾向は、受験改革を機に、多角的な評価の入試への導入が拡がるため、今後も続くことが予想されます。現状5人に1人が推薦入試で合格していることを考えると、国公立の医学部医学科を志望するのであれば、推薦入試やAO入試の受験も有力な選択肢となります。

国公立大医学部医学科の推薦入試では、一般入試と同様にセンター試験(2021年度以降は共通テスト)と各大学の個別試験が課されます。このうち、センター試験は、ほぼすべての大学で一般入試と同じく5教科7科目(理系型)が課されます。一方、個別試験の科目は大学によって大きく異なります。大きく分けると次の3パターンに分かれます。

国公立大医学科の推薦入試の個別試験科目のパターン

面接と志望理由書等の提出書類のみを課す場合

面接書類に加えて小論文を課す場合

面接書類に加えて、学力試験や数学や理科、英語等の知識を問う小論文・総合問題を課す場合

★各大学の推薦入試の概要はこちらをご参照ください。

 

推薦入試対策の負担

国公立大医学部医学科の一般の二次試験は多くの場合、英語・数学・理科の3教科の記述形式の筆記試験になるので、このことを考えると①や②の場合は一般入試に比べて負担は少なくて済みます。また、センター試験に関しても一般入試に比べて合格者の平均点で5~10%程度低く、総得点率で80%~85%程度となっています。つまり、一般入試では学力的にやや厳しいような人も、推薦入試では合格していることになります。

確かに推薦入試は、高校での評定(内申点)の条件や卒業年度、同じ高校からの推薦者数の上限等、出願資格が制限されてはいますが、かなり有力な選択肢になります。特に高校1年生、ある程度成績上位につけている高校2年生は積極的に狙っていくべきです。

 

国公立大医学科現役合格のための学習戦略

国公立大学の医学部医学科の現役合格を目指す際は一般入試に加えて、推薦入試も有力な選択肢になりますので、ここでは一般入試と推薦入試を併願することを念頭に置いて学習戦略を考えてみましょう。まずは、高校3年間の各学年でのポイントを考えていきます。

 

各学年でのポイント

1年次:英語・国語の徹底強化と内申点対策

2年次:数学全範囲(Ⅲまで)の基礎力完成および内申点対策

3年次:理科の先取りと共通テスト対策・二次試験対策・推薦入試対策

 

1年次の学習のポイント

1年次では英語と国語の強化が最重要事項となります。これは、数学や理科に比べて、英語や国語は先取りで学習がしやすいためです。理系科目の場合、単元ごとの結びつきがかなり強く、ある程度学習済みの単元が増えてからでないと、先取り学習は容易ではありません。対して文系科目では、例えば英語の場合、単語と文法は同時進行で強化できますし、その二つの力がつけば、精読(構文)と多読(長文読解)、英作文、リスニングなどを同時進行で強化することができます。なので、先取学習がしやすいといえます。

よって、1年次の目標としては英語・国語の徹底強化し、この2教科については、共通テストで合格者平均点が取れるぐらいのレベルを目標としましょう。また、数学・理科については、学校で学習した範囲の基礎レベルを完璧にしておくことを目標としてください。学習済みの範囲を完璧にすることで、2年次以降の学習がスムーズにいくかどうかに影響しますし、内申点対策にもなります。

2年次の学習のポイント

1年次で英語・国語を共通テストで合格点取れるレベルまで引き上げたら、2年次は数学を重点的に強化します。国公立大の医学部医学科を目指すにあたっては、共通テストで高得点を取っただけでは合格できません。センター試験の配点が高い大学であっても、受験者のレベルが高いため、二次試験でもある程度の得点が必要になります。そのためには、十分な二次試験対策が必要であり、そのための期間を確保しなければなりません。なので、最低でも3年次に入ってすぐに英語・数学については二次試験対策をスタートさせ、夏の終わりには目途をつけて、秋以降は理科中心に切り替える必要があります。

したがって、2年次では、数学の全範囲を一通り終わらせ、二次対策ができるぐらいまで基礎力を高めておくことが最大の目標となります。また、その他に教科については、理科は1年次と同様に学習した範囲の基礎レベルを完璧にしておきましょう。国語や英語については1年次で強化しているので、適宜演習をして、実力を維持していきましょう。

 

3年次の学習のポイント

3年次のポイントは理科の先取りと試験対策になります。1~2年次に英語・数学(数Ⅲまでの全範囲)の基礎ができていれば、3年次になってすぐに二次試験対策に取り掛かることができます。また、共通テストで配点の大きい国語も1年次にきちんと強化できていれば、その対策に時間をかけなくて済みます。このような状況で3年次を迎えられるとだいぶ合格に近まっています。

3年次の学習で注意が必要なのが理科です。中高一貫校でない限り、高校の授業で理科の全範囲を終えるのは3年次の秋頃になる場合が多く、これでは十分な試験対策ができません。そこで、3年次では先取り学習をして、遅くとも夏には全範囲の学習を一通り終え、基礎を固めに移り、英語・数学の二次試験対策の目途がつき次第、すぐに理科の二次試験対策に移れるようにしておきましょう。

 

計画通りにいかない場合はどうするか?

以上のように1年次に国語と英語、2年次に数学、3年次に理科というように力をつけることができれば、狭き門である国公立大学の医学部医学科も現役合格が見えてきます。しかしながら、各学年で設定している目標は簡単に達成できるものではありません。うまくいかない場合は修正が必要になります。また、今すでに高校2年生や3年生の人は時間を巻き戻すことはできませんので、別の戦略を考える必要があります。

このようなケースについては、今後の記事で対策を紹介していきますが、合格できる可能性は今回紹介した戦略がうまくいった場合に比べて、低くなります。なので、まずはここで紹介したような戦略を全力で進めることを第一に考えて、学習に取り組んでほしいと思います。

また、PMD医歯薬予備校では医歯薬学部受験に精通したスタッフと相談して、戦略的に学習・受講計画を立てて取り組む事ができます。現役合格を目指す高校生で興味のある方はご連絡ください。